「ぼく、えらいねえ、よくがんばったね、ぼく」

きょう、たおくんが
ひとりで晩御飯を買いに行ってくれて、
無事に帰ってきてくれて、
たくさん涙がでた。

 

いまはとにかく一緒にいるのがきつくて、毎日毎日死ぬほど辛い時間があるなかでも、
ふたりでなんとか
優しい時間を
1日のうちに必ず持てるようにがんばってる気がする。

 

弁当やから帰ってきて、
わたしは倒れてて、たおくんは自分のことだけでも大変だったはずなのに、
自分のよりも先に、わたしの分を用意して持ってきた。

 

よくがんばったね、とたくさんハグをしてほめて、
たおくんは嬉しくて泣いていて、

 

今までずっと長い間

とにかく自分のことを守りなさいと
ママになんといわれても、自分を大事にするんだと

ぼくはぼくを愛してると言いなさいと
そのことを、
ずっと伝えてきて

 

いつどんなときに何が起こっても、
彼が自分を責めませんようにと

わたしにひどいことを毎日言われても、
彼が自分を嫌いになりませんようにと
祈りながら、
一緒に練習してきた。

 

たおくんは前よりもそして、よく笑うようになって、
わたしのことを、よく褒めるようになって、
一緒にいることが愛おしい感じがまいにち伝わってくる。

ほんとうに心から、わたしのことを可愛いと思ってるみたいに、

「まま、かわいい」と何度も言ってくれる。

 

 

いつも、
たおくんが苦しい顔をするたびに
優しさで、自分を犠牲にするたびに

わたしは死にたくなって、苦しかったけど

 

今たおくんが私に見せてくれているのは、わたしが受け入れたい、許したい
「日本人のすがた」なんだと思った。

 

日本人が、こんなに豊かなのに分かち合えないことが悲しいとか、
こんなに優しくて愛があるのに、自分を傷つけ続けてるとか、
そういうのを見ながら、

どこかでわたしは、それは自分のせいだと、自分を責めていたのだと気づいた。

 

わたしは、ちいさなころから、きちんと自分の意見を持っていたとおもう。
誰かに譲ることよりも、まっすぐにほしいものに突き進む中で、ひとはわたしをわがままで性格が悪いと、可愛くないと言った。

そして、彼らは常に、自分を犠牲にして、不満を抱えながら、わたしを先に優先させて、

わたしは、愛や優しさを受け取ると同時に、彼らの嫉妬や不満や自己犠牲の怒りを浴び続けてきたことで
わたしは、日本人と一緒にいることが、死ぬほど苦しくなった。

 

今日、たおくんを思って、

たおくんが苦しみませんように、ママを優先させて、自分を傷つけませんようにと
思いながら

たおくんが、優しくて自己犠牲で傷ついたとしても、

それはもしかしたら、わたしのせいではなかったのかもしれないと思った。

 

たおくんはひとりの立派な人間で、わたしとは違う。

ちゃんとしていて、周囲とも溶け込めて、愛情があって、やさしくて、おもしろい。

 

そして、彼が自分を犠牲にしたり、自分を責めたり傷ついたとしても、
それは彼の選択であり、
わたしが悪かったわけじゃない。

 

 

何度も何度も、泣きながら

「まいは悪くないよ、まいは、一度だって悪くなかったよ」

と、日本に生まれて苦しんだ40年を見送った。

 

 

たおくんが苦しむのは、たおくんの責任であり、まいのせいではない。

日本人が苦しむのは、日本人の責任であり、まいのせいではない。

 

もしもそうだと思えたら、すうっと苦しさが和らいでいって、涙がたくさん出た。

みんなこんな抑圧にみちた環境の下で、たくさんのいらない洗脳を受けながら、考えないようにさせられて、
それでも豊かで、優しくて、不満をぶちまけながら、生きてるのだとしたら

よくがんばってきたよ、と本当によくがんばったよ、と思えた。

 

わたしは、抑圧に満ちた場所で疑問を感じる人間だったし、洗脳を受けずに(別の意味では呪われたが)考えて、おかしいことには反発したし、つねに向かい風に向かって生き抜いた。

外国に行って、やっと自分らしさを取り戻して、いっときの平穏を過ごしたけれど、
そしてわたしもまた、いつだって豊かで優しかった。

 

多くの日本人とわたしは異質だったかもしれないが、それでも

いろいろ自分の愛の種類に想いを馳せていたら、

 

もしかすると、日本人が「本来の姿」に戻ったときの、優しさや愛のあり方を
本来の状態、そういう性質を持っているのが、自分なのかもしれないと思った。

 

そういう意味で、わたしはもっとも日本人のすばらしい部分を持ち合わせているのだとしたら、
それをこれからちゃんと使ってゆけますようにと思った。

 

 

たおくんが、夕飯を準備しながら、

「ぼく、えらいねえ〜、ぼく、よくがんばったねえ〜」と自分にハグをしていた。

 

まいにちまいが、「まま、がんばったね、ままえらいねえ」と一生懸命声に出して言い続けていたら、
ちゃんとたおくんにも伝染して、

うれしくてたくさんハグをした。

 

たおくんはいつも、ハグをして、ほんとうに嬉しそうだ。

 

いつか、日本人に生まれてよかったと思える日がくる。

 

 

そう遠くはないかもしれないし、

きのうまでは死ぬほど苦しくて、日本人がきらいですとしか思えなかったのが、

きょうは、すこしだけ薄いガラスがぱりんと割れて

日本人、よくがんばったね、と思える。

 

まいは、日本人の美しさをたくさん持ち合わせていて、それをこの国の歪んでしまった場所に還元しようとしている。

 

たおくんのおかげだ。

ありがとう

 

日本人らしさを認めてゆこうと地毛の色にしてくださいと黒髪にカラーしたら、

たおさんに哀れみとともに

「まま、、、、、がんばってお金貯めて、また茶色にしようね」と何回も言われた。

 

😂そのうち、ぼくがお金払ってあげるから、髪染めておいでって言い出しかねん

 

何度、流れから転げ落ちても、また流れに乗れば良い。

進んでいこう。